KENGO's memo

日々の思考の備忘録、ドイツ、カールスルーエ研究留学・インターン体験記

年末年始旅行⑩ イタリア編最終日

2016/2017の年末年始旅行で8泊9日フィンランドスウェーデン→イタリアと巡ってきました。今回はイタリア(ミラノ)での最終日を振り返ります。

最終日は昼12時出発のスイス、チューリッヒ行きのバスに乗るまでの短時間だけの観光でした。せっかくなので、前日に行ったものの、結局開いていなかった2つの教会にリベンジすることになりました。

え?そんなところまで?

だまし絵の教会、サンタ・マリア・プレッソ・サン・サティロ教会(Chiesa di Santa Maria presso San Satiro)という長い名前の教会はだまし絵が有名らしいという情報をゲットしていたので、それがどんなものか、観に行ってみることにしました。

敷地に入る前には柵があるのですが、前日はそれが閉まっていました。この日はそれが開いていたので、恐る恐る建物の中にも入ってみると…

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一見普通のどこにでもあるような教会かそれよりも少し装飾が凝っているぐらいの教会。奥の両サイドに空間があって、十字の構造をしているのは少し珍しいなという感じでした。「これのどこがだまし絵なんだろうか」と祭壇に近づいてみると、「んん?」

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「これのことか!!!!」という感じでした。正面から見ている上では祭壇のある方向に奥行きが感じられたのですが、その横に立つと、その奥行きは1mもないほどです。床に描かれている模様に注目してもらうと分かりやすいのですが、奥の壁に近い領域の模様がない領域の床の幅がその奥行きの狭さを示しています。奥の壁の装飾だけに注目していてもその奥行きの狭さは分かりません。装飾自体も奥行きがあるように配置されているからです。

それだけではありません。装飾や掘りだと思っていたところもよーく目を凝らしてみると、なんと画なのです。最初の正面からの写真の両端の柱の模様も、一見すると彫刻のように見えますが、これも画です。

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祭壇の壁の装飾も彫刻もでっぱりがないところ以外はすべて画。綺麗な彫刻だなあと思ってみていた天井ですら画だったのです。写真で伝えきれないのが残念ですが、メインの正面奥の壁のだまし絵以上に驚かされました。どんだけ画がうまいんだ…

もはや美術館な

次に訪れたのはフレスコ画の教会、サン・マウリツィオ教会(Chiesa di San Maurizio al Monastero Maggiore)。さきほどのだまし絵の教会以上に画がメインの教会です。

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さっきの教会で彫刻にみえる天井の画を発見していたので、ここでも気になって天井を見てみると…ここでも彫刻ではなく、画でした。じっくり見てみないと見分けがつかないほどよく描かれています。

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これは入口付近を写した写真。これからも分かるように、中に入ったときは、フレスコ画がぎっしり描かれた教会は一見するとそこまで大きくない空間なのかなと感じまし。が、実は正面の壁を挟んで向こう側にも空間があります。

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正面からはこんな感じ。正面の壁だけでなく、両側の壁も全面がフレスコ画になっています。教会のことやフレスコ画の説明も英語でざっくり書かれてありました。それによると、ミサの際には手前の空間が一般用、奥の空間が修道女用と分けられているそうで、真ん中にある格子からその様子を垣間見ることができるそうです。

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また、格子とは違い、小さな小窓が右と左にあります。この写真では左の小窓を写していますが、その位置は両サイドに聖人が描かれてあり、その下には天使が描かれている場所にあります。緑色の小さな扉がついています。ミサの中で聖別されたパンとブドウ酒をキリストの肉と血と見立ててそれをいただく行為を聖体拝領(holy communion)というのですが、一般礼拝者は左の小窓からは「witnessed the raising of Host」ができ、右の小窓から「Communion(聖餐、一般にパンとブドウ酒)」を受け取ることができるそうです。これについてよく分からなかったので詳しく調べると、ローマカトリック式の聖体拝領では、パンとブドウ酒の聖杯が聖別されたあとに直ちに一般の人々に見せることがあり、そのあとは聖別されたパンのみが配られ、ブドウ酒は司式者だけがいただくそうです。説明書きにあった「witnessed the raising of Host」はおそらく聖職者による儀式で聖別されたパン(Host)を見ることができるということだと考えられます。Communionと言われているところでもブドウ酒は含んでいないのかもしれません。(キリスト教信者ではないのでもしかしたら間違っているかもしれません。)

さて、脱線してしまいましたが、この教会のフレスコ画のメインテーマは「キリストの受難(Passion of Christ)」でキリストの最後の晩餐から死に至るまでのことが描かれています。また、上段真ん中のよく見る聖母マリアの画は「聖母被昇天(the Assumption of the Virgin, Assumption of Mary等表現はさまざま)」と言われるもので、聖母マリアの霊魂がその肉体とともに天に上げられる様子を描いた宗教画です。名前を聞いたことのない聖人の画とそれに沿った画も描かれていました。

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この日はミサは行われていなかったので奥の空間へも入れました。この両側の椅子に座って修道女がミサを執り行うのでしょう。真ん中の壁はさっきみた仕切りの壁になります。こちら側にもたくさんフレスコ画が描かれています。描かれている絵は一般礼拝者用の空間での画と少し異なっていました。特に上部のアーチ状の部分。どちらの空間にもあるフレスコ画は1510年代から描かれ始め、1565年に親子二代かかって完成したそうです。

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修道女用の空間の一番奥側の壁には「最後の晩餐(the Last Supper)」が描かれていました。

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この「最後の晩餐」と対になっているのが、反対側の壁に描かれている「カナでの結婚式(the Wedding at Cana)」です。この写真の真ん中です。

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 その他にもこの空間には創世記のシーンである「原罪(the Original Sin)」だったり、「ノアの方舟 (Noah's Ark)」が描かれていたりしました。これまで断片的に理解していたキリストの受難だったのですが、ここでのフレスコ画を見ることでかなりはっきりと理解できました。教会というよりはもうここは美術館ですね。

イタリアでの教会の宗教画を鑑賞するにはやはりある程度の知識を持たないと分からないことが多いことが感じられたイタリア旅行でしたが、次イタリアに来るまでに少しずつでも学んでいけたらなと思いました。

スイスの物価高すぎワロタ

2つの教会を巡ったところで、ミラノ観光タイムオーバー!12時ごろ出発のチューリッヒ行バスに乗り、チューリッヒカールスルーエ行きのバスに乗り換えという算段です。(今回の旅の交通手段についてはこちらを参照)

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ミラノからチューリッヒに抜けていく道の光景はなかなか目が離せないほどの絶景が続きます。ミラノを出発した時点で残すはバスでの移動だったのですでに旅行終了モードに入っていたのですが、さすがに目が覚めました。ちなみに旅行に出る前に気になっていたイタリアとスイスの国境でのパスポートチェックはありませんでした。

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休憩所には蛇口をひねればスイスの雪解け水がそのまま飲めます。(個人的にはフィンランドの水が一番おいしかった)そしてこの旅行で初めて雪を見ました。(北欧では暖かすぎて雪は積もっていませんでした。)

ミラノ出発から4時間後、チューリッヒに着いて、カールスルーエ行きのバスの乗り換えの時間が2時間あったので、中央駅周辺を散策。駅地下にはスーパーがあったので、物価が高いと言われるスイスの品々の値段を見てみることに。

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そしたらなんと、こんなものを見つけました。ライスサンドとおにぎり。ライスサンドもおにぎりも日本のサイズとほとんど変わりません。(ライスサンドはサンドイッチと同じサイズの意)ドイツや他の国では「寿司BOX」は見かけるものの、おにぎりを見つけたのは初めてでした。そしてライスサンド、これに関してはスイスで独自に進化した日本食みたいです。そのお値段は…

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おにぎり3.8スイスフラン、ライスサンド6.7スイスフラン。この時期は1スイスフラン=114円だったので、それぞれ約433円、約764円と高すぎワロタでした。そのほかの商品を見ても、だいたい日本の物価の2倍はしていました。こんなに高いとは…スイスに観光行こうかと考えていましたが、これを機にそれを考えることはなくなりました(笑) カールスルーエ行きのバスに乗り換え、そこから4時間で無事にカールスルーエに到着!いつもはそんなに好きじゃないのに、長旅から無事に到着したときに感じたカールスルーエの居心地のよさ。カールスルーエはもうホームになったんだなという印象を受けました。

そんなこんなで最後まで新しい刺激を受けつつ、2016/2017の年末年始旅行は終わりを迎えました。8泊9日、1日1日が非常に濃く、いい思い出も悪い思い出もたくさんできました。また、年末を海外で過ごすという機会は今後そうそう来ないと思いますが、その時が来ればまたこの思い出を思い出すのでしょう。また休暇ができたときには、お金が許す範囲でほかの国に行きたいです!

そして、次の旅行カテゴリーのブログは、3月に行ったアイスランド編に突入します!こうご期待!(たぶんまたちんたら更新します(笑))

KENGO