KENGO's memo

日々の思考の備忘録、ドイツ、カールスルーエ研究留学・インターン体験記

バーデンバーデン・フリードリヒス浴場は裸の楽園!?

前回の投稿から3週間ぐらい経ちました。無事に空き部屋を契約することができてネットもサクサク!ようやく腰を据えて家でも勉強できそう。この件に関してはまた別の機会に投稿します。今回はバーデンバーデンへ行った内容を書いています。ちょっと長いかも知れないですが、是非読んでくださいまし。

バーデンバーデンとは?

以前からドイツのガイドブックを見て気になっていたバーデンバーデン(Baden-Baden)。Badenとは「入浴する」という意味なのですが、そんなことは知らなくても、この名前は一度聞くとあまり忘れないでしょう。

ドイツでも有名な保養地として名が通っているらしく、そんな場所に2000年前にローマ人によって発見されたという源泉を使った歴史ある温泉施設があります。130年以上の歴史あるローマン・アイリッシュ式のお風呂文化を体験できるのが売りらしいです。

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温泉施設はフリードリヒス浴場(Friedrichsbad)とカラカラ浴場(Caracalla Therme)が有名ですが、フリードリヒ浴場は全裸混浴システムがあり、そしてサウナのインストラクションがちゃんとあります。(あと、地下には小さいですが遺跡もあります) 

ちなみにカラカラ浴場は水着着用らしく、フリードリヒのようにインストラクションはなく、自由にサウナやプールを行き来できるスタイルで、建物もめちゃくちゃ新しく綺麗な感じでした。

 

全裸で混浴といったスパ施設は日本では全く聞いたことがないですが、いろいろ調べるとドイツではそれが普通にあるようです。


例えばスパ施設があると、温水プールとサウナがあり、プールは水着着用、サウナは全裸というのが一般的らしく、その混浴も普通らしい… なんとも不思議な文化です。

 

銭湯・温泉好きな僕からしたら、「海外のお風呂文化はもちろん知っておきたい。」というのが表向きなモチベーションで、裏では「全裸混浴」に惹かれるやましい気持ちがあったのも男性なら分かってくれますよね?(笑)

 

ちょうどフランス留学中の高校からの友達がカールスルーエに遊びに来ていたのですが、カールスルーエは特に見どころもないし、ほとんどの場所が絶賛工事中なので、一緒にバーデンバーデンのその施設に行ってみることにしました。

いざ、バーデンバーデン、フリードリヒス浴場へ!

        

 

僕が今いるカールスルーエからバーデンバーデンへは電車で片道約30分、7.10ユーロ、駅から施設のある市街地まではバスで片道10分、2.4ユーロ、バス停から施設までは綺麗な街並みの中を徒歩10分ぐらい、となかなか安いし、少し遠出してのんびりするには良いところです。

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ただし、駅からバスに乗る際には、駅があまり観光地化されておらず目立った看板が全くなく分かりにくいので、バスも路線図を見ながらどれに乗るか見極めなければならないのが難点。

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バスはLeopoldsplatzへ行くのが一番近いですが、バスの関係で一つ手前のHindenburgplatzで降りて歩くのもできます。バスは休日でも10分おきにありましたが、夜になると本数が少なかったです。

特にLeopoldsplatzから駅に帰る便は要チェック!僕らは帰りのLeopoldsplatzからBaden-Baden Bahnhofへの便の時間を確認するのを忘れており、時間も限られていたのでタクシーを使う羽目になりました…

浴場の料金・システム

フリードリヒ浴場の基本料金は25ユーロ。

 

オプションで石鹸ブラシマッサージやクリームマッサージがそれぞれ12ユーロでつけることができ、最大49ユーロで温泉、サウナ、マッサージを楽しむことができる。だがいろいろ評判を見ているとマッサージはただブラシが痛いだけだというので、今回は基本料金の25ユーロで入場しました。

 

サウナはインストラクション通りに回りますが、全部で17行程あり、それぞれの行程で看板に定められた時間に従うと大体2時間ぐらいで回れます。


基本料金の25ユーロだと最大3時間まで施設内に滞在できますが、もちろん全行程を時間通りに回るかどうかは個人に任せられてるので、1時間で回りきるのも可能です。

 

入り口はエントランスに向かって右と左であり、右と左にそれぞれ17行程の部屋があります。この施設は曜日によって混浴だったり、男女別だったりするのでエントランスが分けられているのだと思います。


ちなみに月・木・土は男女別浴で、あとの曜日は混浴です。


でも、ガイドブックによく載っている最後のドーム状の浴場だけは入り口が右左関係なく合流しており、そのため男女別の日だったとしてもここだけは混浴になるので注意!


「なんやねん、結局混浴やんけ!」というツッコミを入れたくなるシステムです(笑)
ちなみに自分たちは混浴の日に行ったので脱衣所から男女同じでした。休日は混浴です。

 

各行程の時間はうろ憶えですが、行程は以下の感じでした。

 

1.シャワー3分

2.48度のサウナ5分

3.58度のサウナ5分

4 & 5 & 6.(マッサージオプション付けるとここで30分マッサージ)

7 & 8. 45度のスチームサウナ10分

9.36度の入浴10分

10.34度の入浴15分

11.28度の入浴5分

12.シャワー3分

13.18度の水風呂入浴一瞬だけ

14.タオルでドライ4分

15.保湿クリームを塗る

16.レストルームで毛布にくるまり保温30分

17.リーディングルームで30分

 

最初の8行程で身体の温度を徐々に高め、そして後半でクールダウンさせていくというのがコンセプト。血行を正常化させ、免疫力を高める効果があるのだそう。


17行程あると言いながら、最後の「リーディングルーム」とかは別に書かんでもええやろうと思いました笑 

 

リーディングルームと言ってもインスタントの紅茶が飲めるぐらいでプールサイドとかに並んでる寝そべれるベンチ(←言い方が分からん)も数が限られているし、読みものもそんなに無いのです…ちなみに8〜10ユーロのお金を払えばそのリーディングルームで軽い食事を取ることも出来ます。

体験した感想

サウナの温度を見てもらうとわかると思うんですが、日本の銭湯や温泉地で普通にのような高温で蒸されたサウナでは全くないです。あれはフィンランド式。今回のはローマン・アイリッシュ式。

 

最初のサウナ2連チャンでは汗が皮膚の近くまで来てるのが分かるが表面に全く出てこなかったのが新鮮でした。まさに低温じっくり暖めコースって感じです。

 

ちなみに低温サウナの部屋ではタイル絵が綺麗に描かれてありました。他の浴室にも描かれていましたが、何か日本的なものを感じます。


日本の銭湯がそういうローマの文化を取り入れたからそう錯覚するのかどうかは定かではないですが、この辺りについてはテルマエロマエを観てみようと思いました。次第に日本の銭湯文化の成り立ちも気になってくるなあ…

 

そして、これも想像できると思いますが、この28〜36度の低い温度の浴室だと、日本人は日本の銭湯や温泉を確実に恋しく思います。


全裸で浴槽に浸かっているのに、お湯ではない。ぬるすぎ
るのです。しかし、そんな気持ち悪さとは裏腹に、34度の入浴中には、何故か身体があったまりだしたのを感じました。


友達は気のせいだろうと言っていて何も感じていませんでしたが、自分は確かにじんわりと身体の内側からあったまりだしたのを感じました。もちろん水温はぬるく感じているのには変わりないです。不思議…


なるほど、これがローマ式のサウナなのかと実感を持って次の行程に移りましたが、それが最悪でした。


それは28度の浴槽5分。


28度の感覚は分かりにくいかもしれないですが、この温度まで来ると、ぬるいというより冷たいのが正しい。夏場の太平洋の暖められた海水温と同じ水温です。(わかりにくいか…(笑)、でもダイバーなら分かるはず!)夏場なら気持ち良いのかもしれないが、施設内もとても暖かいというわけではないので普通に5分間凍えただけでした。


さっきまでじんわりとあったまりだしていた身体が確実に冷えます。

 

他の人はその28度の浴槽をどうしていたかというと、さっきまで同じ時間配分で回っていた人たちは入っておらず、2人で28度を独占してました。


あるタイミングでその28度の浴槽に入ろうとした二人組の若い女性もいましたが、自分たちが他の人が入るのかどうか気になっていたところに来たため、その行動を凝視してしまったからいけなかったのか、それとも水温が冷たすぎて入るのを拒んだのか、どちらか断定できませんでしたが、その行程をスルーしていきました。

入った人がいても5分よりは短い時間だったような・・・


最後には、とどめの18度の水風呂でフィニッシュ。

 

身体は完全に凍りました。同時に再びこの施設に来ることはないと思いました。(でも、体験してみるのは重要だと思いますよ!)

 

次行くならもう少し、自分の好きなように身体を暖められてのんびりできるスパに行きます!

気になったこと

新しい場所で新しい体験をすると他の人がどうしているのか気になるのは人間の性だと思うが、スパ施設で気になったことを列挙しようと思います。

 

1.裸になることに対する抵抗 

ここは全裸で混浴ということを受付で必ず確認させられますが、それでも中に入ると他の人に裸を見られたくないと思う人は確かにいました。ただそれはごく少数で、もしそうしていると不自然に思われます。それ以外の人は、裸でいることを全く気にしておらず、サウナでは寝そべるタイプの木製チェアがありますが、老若男女問わず全てさらけ出しているのが新鮮でした。


やましい気持ちはある程度抑えてない限り、男性陣は丸見えなので大変なことになります(笑)いわずもがなですが。


ただ、あまり他の人の裸体を凝視してはいけません。気になってもチラ見ぐらいにとどめるのが大人ですね。


女性の方も、あまり裸を見られているという意識をしすぎてはいけないと思います。そこではそれが普通なので、裸でいることを嫌がっていると逆に目立ちます。

 

2.施設内は静かにしなくてはならないというルールが一応ある

日本のサウナだったり、入浴中は別に話していても何も言われないのが普通なのかなと思います。むしろ風呂やサウナに入りながら会話を楽しむのも一つの文化を作っていると思いますが、こちらではとにかく「静かに」と書かれています。


最初は戸惑いましたが、あまり大きな声で騒がない限り普通に会話してても問題ないと思います。まあある意味日本でもそうか…(笑)

 

3.浴槽で泳いじゃったりする

浴槽は40cmぐらいの浅いものもあれば1mぐらいの深いものもあるので、深くてスペースがあるところであると他の人は泳いでいました。


浴槽で泳ぐのはこちらでも実はタブーなのかもしれないですが、若い女性が何の躊躇もなく、他の人も浸かっている浴槽のど真ん中を泳ぐ光景には自分の目を疑いました。日本でそんなことをしてたら銭湯の名物頑固おじさんなるものに怒鳴られるでしょうね。


こちらで「温泉」と言っても、日本の感覚でいうと温水プールのお風呂版と捉えたほうがいいのでは?と思いました。

 

4.アンダーヘアの処理

自分はここに行く前にアンダーヘアの処理についていろいろと調べましたが、結局処理せずに行きました。


施設内には自分たち以外にもアジア人もまあまあいたし、皆処理せずにナチュラルだったので、気にしなければそのまま行けばいいと思います。欧米人でもナチュラルに生えてた人もいました。

 

アンダーヘアを処理せずに浴場を使うことに関して欧米人はどういう感覚を抱いているのか、マナー的なものがあるのかについてはまた今度友達に聞くことにして、分かれば加筆しようと思います。ただ今回一緒に行った友達はフランスに2年間いたこともあってか全剃りではないにしても、ちゃんと処理していました。ボーボーすぎるのは失礼なのかもしれない。

まとめ

・ローマン・アイリッシュ式の温泉とサウナは確かに身体の正常化には良さそう。

・じんわりと温められる新鮮な感覚とは裏腹にそれをぶち壊すような冷水には注意。

・逆に日本のお風呂文化が知りたくなる。

 

            
 

今度は、カラカラ浴場や他のスパ施設にでも行って、気ままにのんびりしたいと思います。またそのレポートも出来ればやろうかな。では!

 

KENGO

 

Oktoberは家探しの月🏠

(FBに載せていた10月分の内容をそのままコピペしています。)

結論から言うと、1ヶ月かかって無事に家を見つけられました。サポートしてくれた方々に感謝します。ありがとうございました。下のほうに家を探し終えるまでの苦悩の日々を綴っています。これで研究もその他の勉強も遊びも加速できるぞ😁

Finally, I got accommodation in Karlsruhe after spending 1 month on searching for it. I want to thank you all who supported me like giving some valuable hints to search accommodation, introducing your friends, translation, and so on. 

At last, I can speed up my research, study what I have wanted, and enjoy my free time!!

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ドイツに着いて約1ヶ月。異国に移って、その土地の時間の感覚と生活の勝手と自分のそれらを擦り合わせて、リズムを作り上げるには、これまでの経験上1ヶ月はかかるだろうと思っていた。でも今回はそういうことと同時に家探しをしなくてはならなかった。残念ながら大学を通じて寮を振り当てられることはなく、どう頑張っても出国前にドイツの家を決められなかったからだ。

過去にドイツで長期滞在したことのある数人に家探しのことを聞くと、物件情報が集まっているサイトWGgesuchtを通じて連絡を取って、現地で直接その物件を訪問して、物件のオーナーやフラットの場合はフラットメイトとも会ってから決めたほうがいいということだった。

それを聞いたときは、「なるほど、確かにそうだな。」と腑に落ちていて、現地に着いて2週間もあれば住む家が見つかるだろうと軽く考えていたが、現実はそんな甘っちょろくなかった。

フタを開けると、同じホステルに滞在していた大学生は皆家探しを既に敢行しており、ドイツ人ですらなかなか決まらないという事態だった。あとで分かったのは、カールスルーエ工科大(KIT)は卒業の時期は一斉ではなく、個人個人の自由であり、卒業に必要な単位と論文を書いて承認されればいつでも可能ということだった。これはあくまで推測だが、新学期が始まる10月は新入生が一斉にカールスルーエにやってくる一方で、上級生の卒業時期が曖昧なため、空くはずの部屋が空かないということで深刻な家不足が起こっているのだと感じた。

ここからが神経をすり減らして生活する地獄の日々の始まりだった…

KITの研究室のほうでは、デスクワークをするスペースとしてなんと一人部屋が与えられ、大学での諸々の手続きを終え、任された実験をやっていくなど、割と順調な滑り出しであった。私生活でもドイツ人の友達が少ないものの友達が数人でき、言語を教えあうタンデムのパートナーも見つかり、孤独ながらも適度に息抜きができるようになった。10月の唯一のビッグイベントはKITで同じ時期に留学しに来ている日本人とシュツットガルトのフォルクフェストに行けたこと。再びあの雰囲気を味わえるとは思ってもみなかった。

ただ、そうした楽しみもほんのひと時。あとの私生活の時間のほとんどは家探しにつぎ込む以外なく、それが終わらなくてはビザの申請など前に進まない状況であった。ドイツで家を探すときは基本的に不動産屋の出る幕は少ないらしい。家を探すにはWGgesuchtのようなサイトを通じてメールを送るのが主流。家が決まる過程では、オーナーが物件情報を載せて、オーナーが新しい入居者を選ぶパターンと空き部屋が出るフラットのフラットメイトもしくはその部屋の本人が募集をかけて新しい入居者を選ぶパターンの2パターンが主流だが、中には友人を介して家探しをして決まることも多々あるらしい。どの場合でも直接その物件に訪問したあとにオーナーもしくはフラットメイトが入居者を選んでいるのがほとんど。

ちなみにKITの国際課や学生課のようなところにも駆け込んだりしたのだが、私の場合、交換留学生ではなく研究室へのインターンであるためKITの学生ではないという扱いであったことが分かり、ほとんど力になってもらえなかった。ただ、力になってもらったとしても、深刻な家不足であることに変わりないことは確かだった。学生寮もパンパンであり、いつ空くか分からないし、空いたとしてもそれを待っている入居予定者が何人もいるということだった。もうそうなっては仕方がないので、ドイツの家探しのやり方に則って、サイトと大学構内で個別に募集がかかっている物件情報を得て、メールを送りまくった。

朝、研究室に着くとメールチェックと家探し。実験の合間に家探し。ホステル帰っても家探し。約1ヶ月、ずっとそんな感じだった。物件を探してはテンプレメールを適度にアレンジして投下。その件数は150件は優に超えてたと思う。そのうち訪問できたのが7件。自分がドイツ語をうまく話せないということ、6ヶ月しか住まないということ、理由はそれ以外にもたくさんあるだろうが、一つの家に10人以上も応募者が殺到している中で選ばれることがないまま時間だけが過ぎた。メールでやり取りして決めた訪問予定自体を入居者が決まったからという理由でキャンセルされることもあった。(それにはさすがにキレた) 断られすぎてもしかしたら訪問時や訪問後に何か間違ったことをしているのかもしれないと何度も思った。

ある日、不運なことに、他のホステルに比べて圧倒的に安かった(6ベットドミトリー、一泊14〜19€)ホステルから追い出されることになった。理由は「滞在しすぎ」ということであった。規約で14日以上は泊められないことらしかったが、すでに21日が過ぎており、「そんなんいきなり言われても知らんがな」のリアクションをとっていたが、なんともならなかった。家探しのための格安の生命線が一気に切れた。慌てて、安めの新しい生命線を探す。生命線を探すための生命線を探す不毛な時間。それでも諦めたら何も変わらない。だから探し続けるしかない。どこかで聞いたことのあるような気がする心理状況だが、本当にそうだった。

下手したら不法滞在になるかも…
でも一回EU圏から出ればまた3ヶ月間滞在期間延長できる?そしたらビザの申請は要らない?その間はずっと住所不定でも生きてはいける?研究室の自分の部屋に住めば居住費はタダ?みたいなことすら考えていた。(今思うとそれもいい手なのかもしれないが確実に不自由するだろう。)

なんとか次の1週間を寝泊まりできる環境を抑え、ほぼルーティーン化した家探しを続けた。10月の初めは、「11/1から入居可能」が並んでいた物件リストも、いつしか「12/1から入居可能」になっていた。もしいま住む家が決まったとしても12月までホステル暮らしをしなくてはならない可能性が非常に高くなっていた。ルーティーン化しているためほぼ無表情でパソコンの画面を見つめていたが、内心では相当焦っていた。このまま家が見つからないまま、ほぼ違法な強行手段に出ることになるのか?と思っていた。

かなり悲観的になりながら、家探しを続けていたある日、変なメールが1通来た。それは短文で「うちの部屋、見に来たい?」みたいなものだった。どこから自分の連絡先を知ったのか、そして、それは以前自分がサイトを通じて送った物件の人なのか全く見分けがつかなかった。同じような名前をたくさん見ながら、とにかくメールを送っているので、どの物件が誰々さんなんて全く覚えてないのだ。送った先の人の名前は、送信履歴から辿ればほとんどわかるのだが、今回の人はAntonioであっても、自分がメールを送ったことのあるAntonioではなかった。怪しいと思いながら、藁にもすがる思いで家探しを続けていたので、その怪しい誘いに乗っかることにした。それから2,3通やり取りしたがいずれも短文。怪しさが増すばかりだったが、後には引かなかった。

そしてその訪問予定日。来てみると割と通学にも便利な地区であった。静かな住宅街が並ぶ。最寄駅についてすぐAntonioから電話が来た。10分遅れるらしい。とりあえず、教えられた住所の前の建物で待っていると、レンタカーのバンに乗ってやってきたグラサン姿のお兄さんが目の前に現れた。自分の名前を聞かれた。イケている雰囲気が漂っていた。

車から降りてこっちにやってきて、第一声が「チャオ!」ガッチリと握手した。案内された家はまだ改装中。ただ、話を聞くとそれは来週には終わってる予定で、3人部屋で家具付き、冷蔵庫はそれぞれ1台ずつ、食器も部屋ごとに色分けされるらしい。他の家では見たことないフラットに対しての哲学があった。そして広大な庭が付いている。

実はこのAntonio、あとからわかってきたのだがなかなかのやり手であった。この年の8月に約5600万円で三階建ての家を丸々購入したらしい。各階でフラットシェアを学生に向けてやっていく予定で、ゆくゆくは広大な庭のほうにもデカいフラットを建設する予定らしい。自分も薄々感じていたがこのカールスルーエという街、不動産で確実に儲かる気がしてならなかった。学生数に対して大学近郊のフラットの数が圧倒的に足りておらず、郊外に追いやられる人達もたくさんいる。そんな状況を知ってのことであろう、Antonioはイケていた。

見せてもらった部屋はもちろん新品の家具が入っており、ほかの設備についてもピカピカのまま。キッチンが広いこと、冷蔵庫が一人1台というのが自分にとっては嬉しいことだった。なにより、他の家では1年間など長い期間契約するのが基本であるところに対し、最低契約期間は3ヶ月であり、退去もフレキシブルにできるらしく、その際は新たな入居者を自分が探す必要が無いということだった。料金は少し高めの設定であったが、家探しに難航している上にここに来てなかなかの好条件の物件に当たっていた。

入居者の決め方や他の応募者の数について詳しく聞くと、「他にも訪問予定の人が4人ぐらいいるけど、基本的に早い者勝ちだよ」と、聞いた瞬間、迷いなくその場で契約を即決した。というかいままでのそういう状況に来ることがなかった。スーパーマリオだと、どうあがいてもなかなかクリアできなかったステージで急に才能が開花して突破できた感覚だった。

そこからの話は早かった。何度もさっきから話していた内容を確認し、「もうこの部屋は君のね!」と口約束ではあるが確約することができた。この口約束はやり手のAntonioのことだから信頼できた。この2,3日で契約を結ぶためにまた会う運びになった。

その帰り道に、一瞬で沸き起こった達成感と沸々と沸き起こる充足感で満たされた時、偶然、綺麗な夕焼けを見た。それが10月史上、最高の瞬間だった。

こうして家探しの呪縛から解放され、明日からは心機一転、研究とドイツ語の勉強に専念できる。入居日は11月に入ってからすぐらしいがいまにも待ち遠しい。はやく日本から持ってきた味噌汁が飲みたい。

だが生活面についての心配事はこれで終わりでは無く、まだ序章であるのは間違いない。これから待ち受けてるのは、家が決まってから進められる住民登録、保険への加入、ビザの滞在許可申請などである。家探し以上に面倒なことになることはなさそうだが、これらに関してはすんなり進んで欲しいものである。

最後に。今回の家探しを手伝ってくれた人達に感謝したいです。自分の誕生日がきっかけでメッセージをくれた、フィリピン留学時代に出来た友達がカールスルーエの友達と繋げてくれたり、浪人時代の友達、大学の先輩、所属していたインカレの先輩が友達の友達経由で家探しをサポートしてくれました。本当に本当にありがとうございました。

それではまた!

KENGO

ドイツ・カールスルーエ留学日記はじめます

ブログはじめたきっかけ

きっかけはタイトルの通り、ドイツで1年間、留学生活を始めたからです。この留学ではトビタテ!留学JAPANの5期生に選ばれています。月16万円の奨学金がもらえているのは本当に助かります。その事前研修のときから、留学の魅力、ドイツの魅力を伝えるために、留学中の経験を文章にして残すってことを宣言していたのに、初動がかなり遅れてしまった…まあそんな感じで一つのツールとしてブログにまとめていくことにしました。(FBでもいいけどやっぱあとで振り返りやすいのはこっちかな)

来てみてびっくりカールスルーエ

2016年10月1日きっかりに日本を飛び出し、ドイツへ来ました。その2日後にはこれから7か月暮らすカールスルーエに着きました。なので、いまは12日目ってことですね。

カールスルーエっていう都市はなじみがない人が多いと思いますが、ドイツの南西部にあるバーデンヴュルデンベルグ州の第二の都市と言われており、州都であるシュツットガルトから車で1時間の距離にあります。フランクフルトからだと南に電車で1時間ぐらいかな。西側はライン川が流れており、フランス国境にも近い場所です。

来てみてびっくりしたのが、街中は路面電車が行き交っており、車に加えて路面電車が来ているかどうかを確認しないと道路を渡れないこと。それにこっちの電車やバスはスペースさえあれば自転車を乗せてもよくて、それが最高。まだ自転車を手にしてないけど、そのうち買います。基本的にドイツ人は自転車移動が好きみたいですね。

留学の目的

今回の留学の目的は、

・自分の専門分野のバイオマスエネルギーのタール除去に関する研究を、日本とは別のアプローチで取り組むこと

・ドイツの再エネ企業にインターンし、日本の再エネ企業と取り組みの比較、ヨーロッパにおける現状の課題の把握、再エネのアジア市場の可能性の探索などを行うこと

・再エネによって変化する社会の考察

の大きく三つです。もちろん裏テーマもありますが、ここでは割愛!

再エネ、特にバイオマスエネルギーを技術面、ビジネス面、社会面で眺めてみようといういま思うと壮大ですね(笑)あまり気負わずにやりたいです。

そもそものきっかけは、高校のときから環境分野の勉強を大学に入ったらしたいと思っていて、大学の授業では環境分野の勉強ができなかったので思い切って学部2年のときにフライブルクへ環境スタディツアーに参加したのがデカかったです。

それ以降、ドイツに暮らしながら、ドイツの政策とかライフスタイルとか体感してみたいなあと思うようになり、そして研究を海外でしてみたいという気持ちも大きくなっていきました。好奇心に身をゆだねています。

留学中の目的のために活動すること以外にも、日本文化を発信していくという使命もトビタテから授かっています。なので日本食を振る舞おうと、こっちに来るときにスーツケースの3分の1を食材で埋め尽くしてきました(笑)

 

おかげで超過料金8200円取られました…(笑)

 

どこでなにしてるの?

大学?研究所?

研究するために通っている大学はカールスルーエ工科大学(通称KIT)です。

ドイツの工科大学の中で最古であり、卒業生にはカールベンツなど著名な人もいます。

2009年にカールスルーエ大学(理論的な研究)とカールスルーエ研究センター(産業寄りの研究)が合併してKITが出来ました。学部生、修士生が授業を受けているメインのキャンパスはもともとカールスルーエ大学だった南キャンパスで、自分が通っているのはもともとはカールスルーエ研究センターだった北キャンパスです。

北キャンパスは敷地がやたら広く、キャンパス内には車やバスが行き交っていてそれを使わない移動には自転車が必須。なんと核融合炉もあって、北キャンパスの真ん中には70~80mの高さはありそうな冷却塔もあります。

最初の三日間のできごと

北キャンパスには南キャンパスから無料のシャトルバスが30分おきに出ており、約20分で北キャンパスへ行けます。最初の3日間は研究室のあれこれを教えてもらいながら、いろいろ手続きを済ませました。

初日に自分の部屋が分け与えられ、まるで教授の気分。自転車も用意されていました。食堂でのご飯の買い方も教わりました。なんとカードにお金をチャージして電子マネーで支払うシステム。日本で通っている大学の方にも導入されてますが、こちらではそれが強制的に使わざるを得ないです。

2日目にKITのIDカードを作成。自分の身分はPraktikumといい、インターンシップと同じ身分なんですが、これは学生ではないということです。学生でないことから、学生であれば公共交通機関の6か月定期券が151€であるところ、1か月で約60€という謎の仕打ちを受けています…この差は結構エグイ。こちらでは学生は超超超優遇されているのを身に染みて感じました。

3日目にしてようやくKITでのアカウントをゲットしました。これで研究室でのネット環境が整って、実験活動以外はできるようになりました。しかしながら1人1部屋に分かれているこの環境はやりづらい…

なにはともあれ、この3日間で基本的な研究室での活動はできるようになりました。

 

しかしながら、なんとこの研究室、学生がいない!

皆、研究者として働いている人でした。

というか北キャンパスには、学生の姿がほとんど見られない。研究センターとしての機能が強く、産業面でのつながりがとても大きいため、働いている人ほとんどが研究者・技術者です。

これは割と誤算。研究室の学生と仲良くなるつもりが、学生誰もいないなんて…って感じです。

留学生活、最大の問題

しかし!しかし!最大の問題がまだ残っています。

 

現地での携帯電話?

ーいいえ。すでにシムフリーiPhoneにこっちで買ったプリペイドSIM入れて使えてます。

 

友達ができない?

ーいいえ。細々といろんなルート駆使して友達はできてきました。

 

最大の問題、それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家!

 

家!

 

まだ家が決まらない!

まさかこれほど家さがしに苦戦するとは思いもしませんでした。

 

事前にちゃんとお世話になる研究室の秘書とやりとりしていて、寮の応募もしていました。でも寮の抽選には落ちてしまいました。ただ、そんな状況でもとりあえず向こうに行ったら、1週間ぐらいで決まるだろうとか思っていました。

 

もう12日目。

甘かった…

 

いろんな人に早くても11月までホテル暮らしになるだろうと言われています。

ほんとうに辛い。ホテルでのネット環境はそこまでよくないので、帰宅してからの時間がなかなかうまく使えていない感じがしています。

家が決まってからはドイツで加入しないといけない保険の手続き、ビザの申請などまだまだやることたくさんあるのにー このままだと不法滞在になってまうで!

 

ただただWG-Gesuchtを眺める毎日です。

今回はこんなとこで、また進展があったらいろいろ書いていこうと思います。

 

KENGO

 

(2016年12月13日)

(追記)このあと、1か月してようやく部屋を契約できました!!!!

部屋さがしは、メールを送り続ける努力、メール以外に人づてにも「家を探している」ということを知らせる人脈、自分の経済状況、そして運です。

たまたまイタリア人がオーナーの新しいWGを見つけることができ、かつそのオーナーが僕のことを気に入ってくれたため、ほんとうに運よく、訪問した日に部屋を契約することができました。(後日、ちゃんとした契約式をしました)

オーナーによっては借主の経済状況を気にします。毎月の予算が少ない人は、毎月支払えないという判断をするので断られるケースもあります。

 

もし、このオーナーから連絡をもらえていなかったら・・・

もし、このオーナーに気に入ってもらえなかったら・・・

いまでも部屋さがしに翻弄されていることでしょう。

 

現に、同じ時期に部屋探しをしていたエジプト人の学生は、2か月経ったいまでもまだ家さがしをしています。そのぐらい、カールスルーエの家不足は深刻です。(というか、留学生が家を見つけて、契約するまでが大変だということを知り合いのドイツ人が行っていました。ドイツ人が優遇されていますが家さがしに難航するのは同じようです。)

 

 

私、KENGOについて

(2019年6月更新)

はじめに

みなさん、はじめまして。KENGOです。

大学進学を機に地元大阪から上京し、東京生活8年目、エネルギー業界で社会人1年目。アジアと欧州を股にかける再生可能エネルギーのリーダーとなるべく奮闘中。

技術とビジネスの視点を持ってゴミ問題、エネルギー問題に対して貢献しながら、これからのコミュニティの変化、自然と人間の共存の在り方を考えて、そのあたりの領域でビジネスを興したいです。

自己紹介

小中高ともに大阪の公立の学校に通う。あることがきっかけで東京での大学生活にあこがれ、浪人の末上京。

学部の専門は生命工学、大学院の専門は化学工学を専攻。どちらにも共通しているテーマは「バイオマスエネルギー」と「廃棄物処理」。

学部時代に4か月間フィリピンに留学。大学院時代に1年間ドイツに留学。

フィリピン留学時代は、「し尿の活用」(コンポスト化、バイオガス化)をテーマにスラム街や農村部でトイレに関するフィールドワークを実施。ドイツ留学時代は、カールスルーエで「バイオマスガス化におけるタール改質技術」に関する研究、ミュンヘン近郊にて小規模木質バイオマスガス化発電装置のメーカーでインターンシップ経験。(このドイツ1年間の修行期間は、トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムの5期生でした。日本の発展のために頑張らないといけませんね笑)

エネルギーや環境に関連する学業以外にも新規事業開発や国際開発の領域についても触れつつ、スキューバダイビングと海外旅行に時間とお金を投下していました。自然を感じること、新しい世界を垣間見ることに刺激を覚えるので大好きです。

現在は、バイオマスのみならず広く世界で再生可能エネルギーの導入を進めていくことに必要な考え方、知識、経験を鍛えています。

 

・生息地 : 東京、横浜、大阪あたりによくいます

・趣味 : 

キューバダイビング(150本)、旅行・街歩き(特に一人で)、映画鑑賞、バスケットボール、ラーメン食べ歩き、デジタル・現代アート鑑賞、銭湯巡り

・興味関心のあること :

再生可能エネルギー、持続可能なまちづくり、エネルギー・環境政策、BOPビジネス、ソーシャルマーケティング、適正技術、日本の共同体論・宗教・アイデンティティ、環境教育など

・いままで行った国  : 26か国 

アジア周辺:ベトナムハノイホーチミン)、カンボジアシェムリアッププノンペン)、タイ(バンコク)、インド(コルカタ、バラナシ、ブッタガヤ)、マレーシア(クアラルンプール)、スリランカ(キャンディ、ダンブッラ、シーギリア)、韓国(ソウル)、パラオ、フィリピン(マニラ、パラワン、セブ)

ヨーロッパ:ドイツ(北部中部以外)、スイス(チューリッヒ)、フランス(パリ)、ルクセンブルクフィンランドヘルシンキタンペレ)、スウェーデンストックホルム)、イタリア(ベネチア、ミラノ)、アイスランドレイキャビク、南海岸沿い)、オーストリアザルツブルク)、チェコプラハ)、ベルギー(ブリュッセル)、オランダ(ロッテルダムキンデルダイクアムステルダム)、スペイン(バルセロナ)、イギリス(ロンドン)

北中米:メキシコ(カンクン)、キューバハバナ)、アメリカ(ロサンゼルス、ハワイ、グアム)

・ああもう死ぬなと思った経験

①一人旅中にベトナムで食中毒になり、丸一日ベッドとトイレを行き来したとき(あとで鏡を見たら目がくぼんでいました)

ガンジス川に飛び込みかかとを切ったとき

八丈島でダイビング中に深さ45mで窒素酔いになったとき(深度40m以上はキケン!)

④同じく八丈島で激しいダウンカレントに流されそうになったとき

人は死を意識して初めて生の喜びを実感します。ほんとに。

 

基本的にいろんなことに興味があり、人とは違う何かを常に求めてるけど自分でも何を追っているのかよくわからない時があったりします(笑) なにか自分の中で光ったある事柄に関してはものすごく追求するタイプの人間です。

 

このブログについて

このブログでは私が日々思ったことや体験したこと、趣味や興味関心についてまとめたりする、自分の備忘録的なものです。以下がブログ上でのラインナップ。

・ドイツでの留学生活体験記、カールスルーエの生活情報など

・ドイツ留学中の旅行記

常に文章が長いというのが癖なのですが、なるべく簡潔に、そして分かりやすく書くことを心がけたいです。 

 

 

KENGO